太陽表面から, その半径の数倍離れた所はコロナと呼ばれていますが, そこではプラズマのガス圧が太陽の重力を越えて,
プラズマが外の空間に向かって高速度で吹き出しています。これを太陽風と呼びます。太陽風の存在は
Biermann [1951] によって,彗星の尾が太陽光の放射圧力以外の力を受けている事から最初に予測されました。また,
Parker [1958] は太陽から吹き出す超音速流の存在を理論的に予言しました。これを,
直接確かめたのは, 1962 年に金星に向けて打ち上げられた探査機マリナー2 号でした。
太陽風中のイオンの主成分は H+ (プロトン)です。次に多いのが He++ (アルファー粒子)で,
そのプロトンに対する密度比は, およそ 0.05 です。他に, He+, O6+, C3+ 等のイオンの存在することが科学衛星による直接探査によって確かめられています。地球軌道周辺における太陽風の平均速度は秒速約
450 km, 密度はおよそ 2~5 cm-3, 数 nT の磁場を伴って, 地球や惑星の磁気圏との相互作用に重要な役割を果たしています。
太陽面でのフレアーが発生すると, 高速で高密度の太陽風が放出されます。また,
コロナ質量放出と呼ばれる現象では, 中程度の速度で高密度の太陽風が放出され,
さらに, コロナホールと呼ばれる領域からは低密度ですが, 高速の太陽風が吹き出している事が、現在、知られています。
太陽風は太陽の表面から磁力線を持ちだし、惑星間空間を超音速で吹いていますが、南北両半球の境の面では磁場の方向が反転し、図に示すような電流層が存在します。境界が完全に太陽面赤道上にないことから、バレリーナのスカートにしばしばたとえられる様な『はためいた』形をしています。
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