太陽風の磁場・電流層について

 太陽は大きな磁石とみなすことができます。太陽の表面からは、下の図に示す様に、北半球では外に向かう磁力線、南半球では太陽に向かう磁力線があります。この2種類の磁力線の境界の領域には電流が流れています。この電流の層は、完全な平面ではなく、すこしヨレヨレになった帽子のツバ(もしくは、バレリーナのスカート)の様な形をしています。

 地球は図に示す様な、太陽の赤道面に位置していますが、太陽がおよそ27日の周期で自転するために、地球は、この周期で、磁場の変化を感じます。地球のみる磁場の向きは、図に描いてある時点では、太陽に向かいますが、しばらくすると、電流層に遭遇して、太陽と反対方向になります。電流層を横切るたびに磁場の向きを反転させ、この変化を無限にくりかえします。

(この図では太陽の大きさが誇張されている点に注意して下さい)

 理解を助けるために、太陽赤道を含む面における磁力線の向きを下図に示します。太陽から出る向きを (+) 、太陽に向かう向きを(-) とすると 太陽のまわりに (+, -, +, -) となった構造がみえます。これを4セクター構造 (Four Sector Structure) と呼びますが、標準的な太陽の状態でみられるものです。普通は、このパターンが、約27日の周期で回転すると考えて差し支えありません。特に、電流層の付近では、プラズマが低速であるのに対して、それ以外では高速であることや、フレアーと呼ばれる爆発の起こる場所が、太陽面上に長い期間(数カ月間)固定されて存在することなどが原因となって、オーロラや地磁気の活動が27日の周期で変動することになります。

 また、面白いことに、太陽磁場の南北の極性は約11年の周期で反転します。つまり、上の図の磁力線の矢印の向きが、およそ11年の周期でひっくり返ります。向きの変わる遷移状態では、4セクター構造以外のより単純な(場合によってはより複雑な)構造が出現するとされています。この遷移の時期がいわゆる太陽活動極大期に対応しており、フレアーなどの太陽面現象の活動が増大します。その影響で、オーロラや地磁気の変動が活発になることが知られています。次の極大期は、西暦2000年前後といわれていますので、今まさに、極大期を迎えようとしているところです。

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