俺様、メキシコに入る

(2002/11/21) 執筆

              俺にとって

           「国境」とは「海」であり

         「国外」とは「海外」であった


    しかし、それはもう過去の話である


サンディエゴから少し南に下ると、すぐにメキシコとの国境(border)にぶつかる。
そう、越境できるのである。そのためにサンディエゴに来たのだ。
フリーウェイを行けるとこまで行って「US LAST EXIT」という看板で降りる。
(レンタカーの保険はUS内でのみ有効。事故を起こしたらやばいので。)
そして、「BORDER STATION」という駐車場に車を預ける。
そこからシャトルバスでメキシコ側の国境沿いの町までたった5分程。
(この時、出国手続き・入国審査は全くなかった。いいのか?)
その町の名前を「ティファナ(TIJUANA)」という。完璧に観光地である。
特に昔は日本人が大挙して押し寄せていたのか日本語の氾濫がひどい。
路上の店員もアホの一つ覚えのように「トモダチ」と「ミルダケ」を発してくる。
よって、こちらもスペイン語で対抗することに決定。


敵 「トモダチ トモダチ」
俺 「イエス イエス アミーゴ」  (と言いながら素通り)

敵 「ミルダケ ミルダケ」
俺 「イエス イエス アディオス」 (と言いながら素通り)

敵 「ヤスイヨ ヤスイヨ」
俺 「イエス イエス グラシアス」 (と言いながら素通り)

敵 「チョット サトーサン」
俺 「イエス イエス サトーサン」 (と言いながら素ど・・・)


          って、ちょっと待て・・・


     誰が佐藤さんやねん!?
          (どこの課長や?)


メキシコプロレス(ルチャ・リブレ)で一般的に使われるマスクを
眺めていたら「アントニョ・イノキ」と話かけてきた奴もいた。
おお・・・心の友よ(ジャイアン)・・・
君だけは本物のアミーゴとして認めよう。


まあ、そんな感じで、基本的には陽気で健康的だと思った。
しかし、たった1、2キロ離れただけでこうも世界が変わるものか。
ちなみに、値段はペソ(peso)表記だが、USドルも使えた。
それから、どうでもいいが、メキシコの女子中高生は制服である。


帰りはシャトルバスはやめて、徒歩で越境を敢行。
手にはブリトーとサルサ(辛いソース)の入ったビニール袋。
パッと見、「手首」「血液」に見えなくもない。怪しさ満点である。
当然、パスポートと滞在証明(IAP-66)は持参しているが、
それでも入国審査で引っかかって戻れなくなったらどうしよう・・・
と気が気でなかった。4月にLAに来た時よりある意味緊張した。
グラサンは外し、ネックレスも見えないように隠す。顔は当然笑顔。
なるべく人畜無害をアピールして面接に臨んだ甲斐があってか
なかってか知らんが、何事も無くあっさり国境を通過できた。


というわけで、俺は今年の誕生日をサンディエゴのモーテルで迎え、
ぐっすり寝た後、第一日目からいきなりメキシコに入国、USに帰国、
夜は映画館で「ハリーポッターと秘密の部屋」を見た後、
下宿で「北の国から(水がひけた&雪子帰還の巻)」を見るという
俺史上最もアツイ誕生日だった。まあ、全部一人やったけどな。


END