監督イスを愛する人たち

(2002/08/29) 執筆

LAはいわゆる「アメリカ西海岸」にある。
よって、サンタモニカなどのビーチに行けば、夕日が日本の方向に
沈んでいくのを毎日眺めることができる(「日出づる国」の逆だ)。
そんな黄昏時を楽しむのには絶好なサンタモニカ・ピアにおいて
7〜8月の夏場、毎週木曜日に無料コンサートが開催されてきた。
有名なバンドかどうかは不明だが、そこそこ人も集まり盛り上がっている。


コンサートに集まった地元民・観光客らでひしめきあってる中、
たまにポッカリと穴が開いていることがある。
そういう場合はたいてい、初老の夫婦が映画監督が座るような
ビーチ用の折りたたみイスに座ってまったりしているのだ。

  何しとんねん? そんなとこに座っとったら
  コンサート見えへんやろ・・・第一ジャマだ・・・

しかし、彼らは決して立ち上がることはない。
まわりでダイナマイト・ギャルがブリンブリン踊っていても
まったく意に介せずだ。「監督イス」に座って微動だにしない。
ポックリいってしまってるのではと逆に心配になるぐらいだ。


監督イスに座りたいのなら、こんな人ごみの中でなくヨソへ行けばいいし、
コンサートを見にきたのであれば立ちあがってるはずだ。
少なくとも、座りながらでも見れる場所に移動するはずだ。
ひょっとしてダイナマイト・ねーちゃんをかぶりつきで見たいのか??
・・・いや、この人たちは初老の夫婦だ。それはない。である。


また別の時、ビーチの駐車場で見た光景。
駐車場でマイカーの真横に「監督イス」を展開して日焼けしているオヤジ。
そのためだけに安くない駐車料金を払っているのである。
日焼けしたいのなら、自宅の庭でそのイスを展開しろ!
ビーチに行きたいのなら、あと数十歩歩け!


     実に中途半端だ


彼らは何をしたいのだろう・・・・?
「監督イス」に座っている自分の姿を見てもらいたいだけなのか?
「監督イス」はステータスの象徴なのか?
そりゃ確かに俺が使ってるのは、こちらの99セントショップ
(やはりあった99セントショップ。そしてここでも「きゅぅきゅぅ」が炸裂だ!)
で買ったしょぼい「ゴザ」だ。悪かったな。
しかし、俺は監督イスの重大な欠点を知っているぞ!
それは、背中が全く焼けないことだ!!


しかし、彼らはそんなことは気にしない。
白黒半分の代償を払ってでも「監督イス」に座り続けるのであろう。
なぜなら、それはビーチ民にとっての最高のステータスだから・・・
・・・と、無理やり自分を納得させている今日この頃、真相は闇である。


P.S. 本日でサンタモニカ・コンサート・シリーズは終わり。
   同じ時間にあるプロレスの放送が最近見れなかったがようやく再開できる。

END