男を磨く旅 (4) クルーズ・コントロールの章

(2002/08/04) 執筆


7月28日(日) 快晴

手は枕、足でハンドル、寝ながら運転してる「バカボンのパパ」・・・・・
その昔、俺がまだ幼少だったころ、テレビでそんなシーンを見た覚えがある。

10問漢字テストの2問目「毛」という漢字が思い出せずに、先へ進めばよいのに
そこでさんざん悩んだ挙句、最後の一画を右ではなく左に跳ねた瞬間に
あえなく時間切れを迎え10点という点数を頂くようなバカ少年だった俺ですら
そのシーンには「んなアホな・・・」と思ったものである(ちょっと長かったか)。
が、驚くべきことに、それは現実に可能なのである。


       クルーズ・コントロール


ああ、世の中にこんな便利なものがあるだろうか・・・?
一度セットすればずっとその速度で走ってくれるという優れもの。
足が自由になりとても楽だ。特にフリーウェイ走行には欠かせない。
初日からフル活用している。バカボン・パパにでも何でもなってくれ。
(最新式の車に乗れるというのもレンタカーの強みなのである。)


この日はソルトレーク・シティからI-80にのって西に向かう。
アメリカには何十マイルもひたすら真っ直ぐなフリーウェイがある。
このI-80がまさにそう。道路が地平線に消えるのである。地図を見ても
バカなアメリカ人が何も考えずに定規で引いたような直線が載っている。


そんな走っても走っても景色が変わらないようなフリーウェイにおいて
クルーズ・コントロールはその真価をいかんなく発揮する。
「ナイト2000」よろしく時速75マイルの定速で走行する車の中、
俺はFMラジオから流れる曲に耳をかたむけながら、時にはアグラをかき、
時にはバカボン・パパになりといった感じで「くつろぎモード」に入る。
が、そんな状態だと当然襲ってくるのが睡魔である。

で、そんな時は歌を歌うわけだ。

それは、旅情をかきたてるような奥田民夫の「旅系」の歌であったり、
単独ドライブを自嘲するような中島みゆきの「ひと〜り上手とよ〜ばない〜で〜」
であったりするわけだが、どうにも困った時には必殺「さかなのうた」の登場だ。
・・・・・この旅で何度「さかな」と言ったか知れん。


そんな感じで約8時間、ソルトレークシティから西へ約550mile(=880km)走ると
ネバダ州・リノ(Reno)に到着する。朝7時出発、運転8時間+休憩1時間で
着いたのは15時ぐらい(タイムゾーンがまた太平洋時間に変わったのだ)。
このRenoという街は小さいが、ラスベガスに次いでカジノで有名な街らしい。
自称「The Biggest Little City in the World」。ネオンでケバケバである。
今回は「KENO」というゲームを中心にやるが、あえなく撃沈。おとなしく寝る。


                     (つづく)