2日目(2003年9月3日)

真の本州最南端へ

今日の潮岬の日の出は5時32分。5時に起き(実際は私は暑くてほとんど眠れなかった)、他のみんなを起こし、展望台の方面へ向かった。芝生を歩くと、展望台の下の岩場に出られる道を発見。こんなところに道があったとは! 我々はこの道を下り、岩場に向かった。途中でみんなの足取りが重くなりながらも日の出がよく見えそうな岩の上を目指して歩き、みんなは日の出を心待ちにしていた。しかし、私の頭の中は、「この先の岩場をずっと歩いて、真の本州最南端に行くぞ!」という気持ちで一杯。途中でみんなを追い抜き、私は先をどんどん進んでいった。

ここの岩場は足場があるため、どんどん先に進める。少し先に進んだところで、男2人(Nさん、N君)が、それから少ししてSさんが見晴らしのいい足場にたどり着き、日の出を待っていた。私はみんなお構いなしに真の本州最南端を目指していった。だが、途中から岩が高くなり、岩の上り下りがきつくなってきた。こうして1つの岩を乗り越えると、もう後ろにいるみんなの姿は見えない。さらに進むと、ちょうど日の出の時間になってきて、太陽が昇ってきた。そこでいったん足を止め、写真撮影。

写真を撮ってからしばらく先に進むと、少しずつ足が滑りやすい岩が現れてきて、しかも眼下では波が激しく打ち付けてくるようになった。私が半そで短パン、靴を履いていて身軽な装備だからなんとか先に進めるのだが、万が一こんなところから落ちたらきっとあの世行きだ。私は2本の手と2本の足を使い、慎重に足を進めた。やがて、ちょっと(1m位)離れた岩の間をペグか何かを使って結ばれたロープを発見。その下はそこそこ深い谷。「このロープでわたらなくては先の岩に進めないなんて、俺はいったいどんなところに来てしまったのだろう、それにしても、このロープ、いったい誰がペグを打ち付けて結んだのだろう?」と思いながら、ロープを使って先の岩場に渡った。

岩に打ち付ける波。こんなところで絶対に足を滑らせて落ちてはならない。 先の岩に渡るためのロープ

少し先に進むと、人影を発見。よく見ると、磯釣りをしているようだ。滑りやすい岩場を慎重にすすみ、その人を目指して歩くと、これ以上ののぼりがなくなり、海が目の前に広がってきた。そう、ここが、真の本州最南端なのだ。そこでは3人の人が磯釣りをしていた。3人に声をかけながら、海に近づけるだけ近づいて、写真撮影。そこには、下のほうが苔むした岩が2つ並んでいて、この先はずっと海だった。岩を上り下りしてから約30分、この瞬間、私は、本州で一番南にいる人となったのだ。

真の本州最南端より。先に見える岩はもはや陸続きではない。 2つならんだ岩。下のほうは苔むしている。 私の足元の様子

しばらく満足感に浸ったあと、元の道をひきかえす。しばらく歩くと、学生風の男の人が、私と同じように最南端を目指して歩いている。話を聞くと、やはり展望台の最南端には飽き足らず、真の本州最南端を目指しているのだそうだ。最後に、気をつけて、と声をかけ、お互い逆方向に進んでいった。

20分ほどかけて岩場の入り口に戻ってみると、残りの3人はもうその場にいなかった。きっとユースに戻ったのだろう、と思ってユースに戻ると、Nさんの車がない。N君の自転車はあったので、きっとNさんの車に乗って朝食を買いに行ったのだろう、と少し考えていたら、しばらくして3人がそれぞれ各自の朝食を持って戻ってきた。

しばらくユースの外のベンチで休んだ後、私は部屋に戻り、ぬれタオルで体を拭いてから着替えて、始発のバスに間に合うように荷物の準備をした。N君もシャワーを浴びてから荷物をまとめ、7時過ぎに、N君はみんなに見送られて自転車で出発。次の目的地に向かっていった。私はそのまましばらく外で休み、7時半過ぎに始発のバスに乗って出発。またどこかであったらよろしく。>Nさん、Sさん、N君

このバスで電車に間に合うのか少しあせったが、何とか時間前に駅に到着した。駅で待っている女子高生に近くで朝食を買える場所を聞いたが、この時間では間に合わないとのこと。食事にありつけないまま、電車に乗り込んだ。

電車の中にいる地元の人にお勧めの観光スポットを聞くと、那智の滝や那智大社がいい、と教えてくれた。どちらにしろこの電車が紀伊勝浦駅で20分停車するため、駅を降りてバス案内所の人に話を聞きに行ったのだが、次の電車が発車する1時間半の間に滝を見に行って戻ってくるのは難しい、とのこと。さらに次の電車はまたさらに3時間後なので、滝を見に行くのはあきらめ、代わりに朝食(まぐろステーキ弁当)を買って電車の車内に戻った(今になって思えば、次の電車のさらに3時間後のでも京都には帰れたし、1時間半後の電車に乗れなくても前日みたいに特急でショートカットしてしまえばよかったのだ)。弁当を食べ終わり、空き容器を捨てに行って戻ったらすぐに発車の時間となり、那智勝浦駅を後にした。今度こそは那智の滝を見に来ます。

電車が終点の新宮に着いたのだが、この先尾鷲方面に行く電車は1時間半待たないといけないので、新宮で途中下車。新宮の観光マップを見て、熊野速玉大社と浮島の森に行くことにした。

まだ10時にならないというのに暑い。アーケードの商店街を通って極力日なたに出ないようにして熊野速玉大社へ向かった。大社では樹齢1000年のなぎの木を見て、奥の社殿でお祈りをして、早足で大社を後にした。

気づいたら時間が結構経っていたので、早足で汗をかきながら浮島の森に向かった。後でパンフレットを見返してわかったのだが、この浮島には娘に関する悲しい伝説があり、後の「雨月物語」(の内、「蛇性の淫」)のもとになったそうだ。ゆっくり見て回る余裕はなかったが、浮島を歩けただけで一応満足。駅への近道を教えてもらい、その道を通っていくとあっというまに駅の前についてしまった。こうしてまた紀勢線に乗って、新宮を後にして尾鷲方面を目指した。それにしても、1度電車を逃したら次は2時間待ちだなんて。私の地元の真岡鉄道よりも電車が少ないなんて、、、

浮島の森の入り口。石像は、娘「おいの」であろうか? 浮島を歩く。中はまるでジャングル

新宮から先を走っていると、途中で止まる駅のなかには携帯の電波が圏外になるところがあることに気づいた。もう1つ気づいたのは、このあたりの川がすべからくきれいだということだ。清流に感動しながら、時には川の写真を撮り、時にはうたた寝し、尾鷲(この日は晴れていた)を過ぎて、その先の紀伊長島にて20分ほど停車。ここで昼食を買った。

尾鷲駅から少し先にて。この辺りの川はみんなきれい。

紀伊長島を過ぎると今までとは雰囲気が変わってきて、田んぼが目立つようになった。この雰囲気はこの前に伊勢に行った時の車窓と似ているなあ、と思いながら外を眺めていると、電車は終点の多気に到着。新宮を出て3時間半かかって、ようやくここまで来た。

ここから先は前に一度見た景色。松阪、津を通り、人もたくさん乗り降りし、すぐに終点の亀山へ。そして関西線に乗り換え、山の中を通って柘植へ。草津線では最初あまり人がいなかったが、もう仕事終わりの時間だというのもあって、草津に近づくにつれ人が多くなる。考え事をしている間に電車は終点草津に到着。ここまでくればもう安心。

後はいままでで飽きるほど乗っている琵琶湖線で京都に戻り、地下鉄とバスを乗りついで家に着いたのは午後の6時頃。こうして、私の旅は無事に終了した。

今度は自転車か車で紀伊半島1周をしてみたいなあ。


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