オーロラ (Aurora)

 地磁気緯度 65〜70 度付近に現れる超高層大気の発光現象で, ギリシャ神話に登場する暁の女神にちなんで, この様に呼ばれ、極光 (Polar Arc) といわれることもあります。北極や南極で発生するオーロラは, 地球をとりまいている磁気圏から大気に降り注ぐ電子や陽子によって励起された酸素原子の発する波長 5577 Å の緑色の禁制線や窒素原子の 4278 Å の青い輝線が一般に卓越しています。オーロラの活動が盛んになると, 下端に窒素分子の赤色帯スペクトルやその上端に酸素原子の禁制線 6300-6364 Åが出現するようになります。
 極域に現れるオーロラはディフューズ型, ディスクリートアーク型, 脈動型の 3 種に大別されます。ディフューズ型では磁気圏中の波動粒子相互作用の結果, ピッチ角散乱を受けた降下電子および陽子が発光に寄与していると考えられています。また、他の2つのものは, 殆ど入射してくる電子によって発光しますが,ディスクリートアーク型のオーロラでは,電離層の上空 3000 km〜 12000 kmの領域に電気二重層とよばれる構造が形成されて, 電子を 1〜 10 keV 程度のエネルギーに加速していると考えられています。また, 脈動型オーロラでは, 1 〜 100 keV のエネルギーの高い成分を含む電子が 10 秒程度の周期で規則的に降下してくるので, ディフューズ型とは別の種類の磁気圏内部の波動励起に伴うピッチ角散乱が, 生成機構として考えられています。極域オーロラの活動は磁気圏サブストームや磁気嵐の発生に伴って活発化します。
 オーロラにはその他, 地磁気緯度 70 度以上の極冠帯に, 太陽面のフレアーにともなったエネルギーの高い太陽風陽子が降下して, Hα, Hβや窒素原子 3914 Å を発光させる極冠グローオーロラがあります。さらに, 大きな磁気嵐が発生した際に地磁気緯度 65 度以下に現れる酸素原子の禁制線 6300-6364 Å が発光する中緯度オーロラがあります。中緯度オーロラを発生させる粒子は磁気圏中で加速されたエネルギーの高い陽子であると考えられています。

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