極域上空で発生する発光現象であるオーロラ、特に最も明るく輝く真夜中前のディスクリートアークオーロラは、10keVほどに加速された電子が、高層の大気と衝突することによって生じます。この加速粒子は上空2000kmから12000kmに存在する静電ポテンシャルドロップによって加速されたものであることが、人工衛星の観測によって明らかになっています。よってこの領域は加速領域と呼ばれています。
オーロラ粒子を加速するポテンシャル構造が、どのように形成されるかは分かっていません。いくつかのモデルがありますが、最も有力なモデルは、ダブルレイヤーモデルです。ダブルレイヤーの形成シミュレーションは古くから粒子コードで行われています。現在のシミュレーションに求められていることは大規模であること、そして加速領域の粒子組成をきちんと反映していることであると考えています。特にこれまでのシミュレーションは、cold ion と hot electron の2種によるダブルレイヤー形成のものしか存在しないので、その他の粒子の影響を考慮したシミュレーションを行っています。