遊び人の魂

(2002/10/22) 執筆

LA日系誌には「美味礼賛」という美味いものコラムの連載がある。
美味を求め世界180ヶ国を旅し、かつ食文化の交差点LAで
レストラン2500軒を食べ歩いたというオヤジが書いているものだ。

         通称「ミスター世界」

何ともセンスのないネーミングだが、世界中を旅行しては美味いものを食い
たまにコラムを書くという、このオヤジの生き方は俺にとってうらやましい限りだ。


「遠山の金さん」という痛快時代劇がある。
働きもせずに昼間から町をブラブラしている「金」という名の男

        通称「遊び人の金さん」

「また昼間から飲んだくれて・・・まったく金の字だけは救いようがないね」
とは町娘のセリフ。普段はさんざんバカにされている金さん、
しかし柳に風よとばかりに飄々と毎日を楽しく過ごしているのであった・・・


所変わってここはお白洲。とある案件が今まさに審議されている最中であった・・・

  悪代官 「お奉行様もお人が悪い。私めにはまったく心当たりのないことで・・・」
  町娘   「ちがうんです! 私、見たんです!! この人たちが清二さんを・・・」
  悪代官 「お奉行様、よもやこんな小娘の世迷言をお信じになるつもりじゃ・・・
        おい、小娘!! そこまで言うのなら証拠をここに出してみなされ!」
  町娘   「証拠と言われても・・・はっ・・・そ、そうだ金さん・・・・
        お奉行様!金さんが全部知ってます。遊び人の金さんを探して下さい」
  悪代官 「はっはっは。ええ呼んでもらおうじゃありませんか、その金さんとやらを」
  悪人1  「そうだそうだ! 金さんをここに呼べ!!」
  悪人2  「お〜い、金さんはどこだ〜い?」
  悪人3  「金さんの登場だとさ〜。きんさ〜ん。」
  悪代官 「フッフッフ・・・もう十分ですよ・・・さて私も忙しい身、帰らせてもらいますよ」
  奉行   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オイ・・・・・
        ・・・・・・・・がたがた、がたがた・・・うるせえなぁ・・・・・・・・
        ちったぁ静かにできねぇのか?おうおう悪人ども!!
        そんなに見てえ証拠なら見せてやる・・・
        冥土の土産にメンタマひんむいてよぉく拝みやがれ・・・・
        あの日、見事に咲いた遠山桜夜桜・・・ウヌら・・・
        よもや見忘れたとは・・・言わせねえぞ!!

   (ああ!な、なんと!目の前のお奉行様の肩には見覚えのある刺青が!!)

  悪代官 「金さん!」
  悪人1  「金さん!」
  悪人2  「金さん!」
  悪人3  「金さん!」
  町娘   「き・ん・さ・ん・・・」

実は「遊び人の金さん」の正体・・・それは、
泣く子もだまる北町奉行・遠山左衛門尉だったのだ!!
・・・・・一時これにハマッタ俺は、来る日も来る日も金さんの
活躍ぶりに溜飲を下げてきたものだった。
ああ、いいなあ・・・俺の最も憧れるポジションだ。


さて、俺がまだ小学生だった時のはなし。
親の証言によると、俺は小学校から帰ってくると家にもロクにあがらずに
玄関にランドセルを放ったかと思うと、すぐ外に遊びに行ってしまったらしい。
そんな俺の様子を見た親が、呆れはてたのか、行く末を危惧したのか知らんが
冗談まじりで俺につけた呼び名、それは・・・

         「遊び人の智さん」


・・・そして、それから20年の月日が流れた。
親の危惧はどうやら当たったようだ。
「三つ子の魂、百まで」という諺があるが、その「遊び人の魂」が
今になってまた覚醒したらしい。しかし、金さんと決定的に違うこと、
それは俺が奉行じゃないことだ。
ああ、ただの「遊び人」じゃだめだ。
これでは何も手に入らない。
しかし、ドラクエでは「遊び人」そのものが職業の一つになってたなあ。
ああ、なんていい世界。ちょっと行ってみたいぞ・・・と思う今日この頃。

(*注*冗談で書いてるだけなので、あまり心配せぬよう。まだ気は確かです。)


END