男を磨く旅 (3) しょっぱい湖の章

(2002/08/03) 執筆


7月27日(土) 快晴。
モーテルに別れを告げ、今日もI-15をひたすら北上する。
正午に州都「ソルトレークシティ(Salt Lake City)」に到着する。
このまえ冬季五輪が開催された場所である。とりあえず目的地には着いた。
・・・・・が、じきに俺は2つの過ちを犯していることに気付くのであった。


まず、避暑地にここを選んだはずが、いざ来てみると充分あつい
しかも、ここまで来るのに地獄の熱さを死ぬ思いで通り抜けて来たのだ。
「意味ねえ〜」と思いつつ市内をウロウロする。Capitol (州議事堂)を見た後
モルモン教の本部を見る。が、モルモンの「モ」の字も知らん俺は早々に引き上げる。
もっと大事な目的があるはずだ・・・それは、「グレート・ソルトレイク」。

俺はこの湖にある種暗示的に強烈なイメージを抱いていた。
小さいときに何かで見た「浮かんで本を読む少年」の写真・・・・・。
たぶんそれは「死海」だったのだろうが、まあ似たようなもんやろ。
プカプカ浮いて疲れを癒すのもよし、滑るように泳ぐのもよしだ。ああ楽しみだ。


だがしかし・・・・・・着いてみたら何かが違う・・・・・・なんやここは?


まず、人が少ない。 なぜだ? 今は夏やぞ・・・・理由はすぐにわかった。
ドブくさい。キモくて小さい虫が大量に発生している。
はるか遠くに人が見える・・・が、それでも水面はスネまで達していない。
ここは有明海か!? 遠浅にも程があるぞ。


・・・ああ・・・「浮かんで本」などもってのほかだ・・・。


異常に足がでかい人なら、ハットリくんよろしく水上歩行ができたのかもしれん。
そんな奴はG・馬場(16文)ぐらいだ。
浮かびたい人は自分の船でもって遥か沖までいかなあかんということか?
しかし、それ以前にこの湖、というか「沼」は汚すぎる。どうりで人が少ないはずだ・・・・。


・・・・・かくして、俺の野望は静かに崩れ去った。
一時間後にはモーテルのプール(ついている所が多い)でやけくそで
泳ぎまくっている俺様(元水泳部)の姿が見られたそうだ。


いちおう湖をなめてみた・・・やっぱり、とても塩辛い。これは俺の涙か?
・・・しょっぱいのは味じゃない・・・この湖そのものだ。
ああ、ソルトレーク・・・塩辛いだけの汚い湖・・・もう2度と来ることはないだろう。
(ただし、中の島まで行くまでの道はすばらしい。)


                     (つづく)