男を磨く旅 (2) モーテルの章

(2002/08/02) 執筆


7月26日(金) 快晴

この日はフリーウェイを離れてナショナル・パークを2箇所ほどまわってみる。
Valley of Fire : 紅い奇岩ゴロゴロ。もう一つは「Cedar 何とか(忘れた)」という場所。
「ほぉ〜すごいでんな〜」とか「はぁ〜そうでっか〜」というセリフしか見つからない。
どうでもええけど、とりあえず熱い。荒野の中の一般道は初めて通る。
景色もすごく運転も楽しいが、エンストしたら死ぬなとマジで思った。


さて、とうとうユタ(Utah)州に突入である。
ここでタイムゾーンが太平洋時間(PT)から山地時間(MT)に変わった。


自動車で旅行することが多いアメリカでは「モーテル」がどんな小さな街にもある。
ここでモーテルというのは「Motor Hotel」のことであり決して「ラブホ」ではない。
安くて設備も整っている。自動車旅行者は一般的にこれを利用するのである。
俺もトライだ。I-15沿いのBeaverという小さい町で、少しサビれたモーテルを探してみる。
入口近くのOfficeに車を横付けする。さて、ちょっとなまりのある女主人が相手だ。


俺 「はろ〜。俺、泊れるかな〜?」
主 「・・・ええっと、18才以下はお泊めできません」


は、はあ〜? だ、だれが18じゃ? どんな状況を思い浮かべとんねん?
日本人の高校生が家出した後、勢い余ってアメリカに渡ってきて、
無免許で車を運転して、わざわざこんな田舎にやって来た・・・・
というストーリーですか? ひょっとして、あなたはくるくるぱぁ〜ですか?


・・・などと怒ることもなくなった。こんなことはしょっちゅうだ。
一般的に日本人は実年齢より若くみられるそうだ。その日本人相手にすら
若く見られがちな俺は、こちらでは最早「ベイビー(赤子)扱い」である。
100人中99人が俺の実年齢を聞くと「リアリィ〜?(まじで?)」と言う。

            リアリィである

原因は「髪型」にもあるのだろう。昔は原チャでメットをかぶらなあかんかったし
ムースをつけて髪を立てることはほとんどなかった。毎日ナチュラルヘアーであった。
が、こちらに来てからベイビー扱いがあまりにも著しくなってきたので
最近はムースで髪を立てるようにしている。そうすると多少は改善されるようだ。


で、話はモーテルに戻るが、その日はたまたまナチュラルヘアーだったのだ。
モーテルのオバサンが驚くのもわからん話でもないのだ。そういうわけで俺は
「ほらね。こう見えても、抜け毛が気になる天下の27才ですよ」と言いつつ(言ってないけど)
満面の笑みを浮かべながらパスポートを提示したのであった。


田舎の安モーテル的雰囲気がイメージ通りで非常によろしい。場末感がたまらない。
これより後、いろんなタイプのモーテルを泊まり歩いたが、この日のが一番よかった。
夜はガススタで買ったファーストフードとビールで質素に済ませ、後は思いを巡らす。
ユタ州まで来たな・・・・・ゆた・・・・・ケント・デリカット(ギルバートやったっけ)
・・・「メガネ」・・・・「目ん玉ぼよ〜ん」・・・・「ちがぁ〜うよぉ〜」・・・
ああ、一時は一世を風靡したケント・・・今頃、どこで何をやってるんだろう?
モーテルの雰囲気と相まって何故か寂しい気分になった夜であった。


                     (つづく)