Big Blue Bus (BBB)

(2002/07/24) 執筆

アメリカは車社会だと言われる。その中でもLAは特にそうだと言われる。
しかし、それは必ずしも公共交通機関が発達していないことを意味しない。
確かにLAの地下鉄はしょぼい(京都市並だ)が、バスはむしろ発達していると思う。
要するに、それが自家用であろうが公共機関であろうが「車中心社会」なのです


俺が使っているのは「サンタモニカ Big Blue Bus (BBB)」という青いバスである。
ガイドブックには必ず載っているが、映画「SPEED」で時速50マイル以下になると
仕掛けた爆弾が爆発する「あのバス」のモデルである。
日本で見た時はまさか自分が乗ることになるとは思いもよらなかった。
こちらに来てからDVDを買って改めて見てみたが、確かに舞台は見慣れた風景だ。
映画でのバスの型はさすがに旧式のものである。今はもっとBigでBlueになっている。


サンタモニカからは #1, #2, #3 どれに乗ってもUCLAへ行ける。帰りも然り。
料金は7月までは片道50セントという信じがたき安さであったが、
20年ぶりに1クォーター値上げされて今は75セントになった。それでも90円である。
アメリカのバスの特徴であるトランスファー(規定時間以内に他の番号に乗り換え可能)
を使えば、たった75セントで何十キロと移動することが可能である。


バスに乗る人というのは車を持っていない(持てない)低所得層の人々であり、
人種的にはやはり「ヒスパニック」と「アメリカン・アフリカン」が圧倒的である。
そして「お年寄り」と「UCLAの学生」というのが主だった客層となっている。
別に危険な雰囲気はない。道路よりむしろ安全だと思う。運転手は皆でかい。


降りる時はボタンを押すのではなく、窓の辺りを伝わってる「ひも」を引っ張る。
「ふぉわん」とまぬけな音がして「Stop Requested」サインが赤く点灯する。
最新式のバスは電子音声と表示で次の停留所を知らせてくれるが、
基本的には自分で把握する必要がある。大声でアナウンスする運転手もいるが、
通りの名前を知らない初めて乗る人がそれを聞き取るのは大変だろう。


また、京都市バスなんかはドア付近に階段があるが、こちらのバスにはない。
だから車イスの人でもそのままゴロゴロと乗降りすることできる。
その時はドア周辺の車高が「プシュ〜」といって下がって乗降しやすくなる。
その辺の身障者ケアサービスは日本より行き届いているように思える。


バス通学は時間がかかる。家から研究室までトータルすると45分ぐらいだ。
でも、毎日のバス停までの往復(キックボード)が少なからず運動になってるのは確かだ。
また、毎日繁華街をブラブラできるので、下宿と研究室の行き帰りだけにならなくて済む。


このBBBのおかげで、貧乏な俺でも「サンタモニカ」に住みながら車なしで生活できている。
ローン返済や車の維持費に使われるべきお金は、スケート・キックボード・レンタカー・旅行など
小口に化けている。逆に言うと、車を買ってたら、車だけになってた可能性があったということだ。
今、下宿は間借りなので公共料金は払っていない。携帯も使ってない。タバコもやめた。
そんな俺が毎月基本的に払わなければならないお金は「下宿代」と「食費」だけだ。
実を言うと、渡米前はやはり「お金問題」が心配でブルーになりまくってた。
だから、異常な節約もしたし、バイトもしまくった・・・・・が、なんとかなったようだ。
俺のブルーを消してくれたのが Big Blue Bus というのはちょっと皮肉だが、感謝せなあかんな。


END